2018/09/02

NYT:201808のベストセラー

NYTimesの月間ベストセラー(ビジネス書)8月のランキングを発表! 
8/31時点で翻訳されて国内の書店で手に入るのは、以下の4つ。
No.3 Outliers
No.4 Red Notice: How I Became Putin's No. 1 Enemy
No.5 Shoe Dog: A Memoir by the Creator of NIKE
No.8 Thinking, Fast and Slow

初投稿なので、No.1の"Bad Blood"について掘り下げてみました。


No.1

BAD BLOOD

by John Carreyrou
Knopf

wikipediaによるとJohn Carreyrouは、ピュリッツァー賞を2度受賞したことのあるThe Wall Street Journalのジャーナリスト。
amazonの書籍紹介は次の通りです。

A National Besteller
"Chilling…Reads like a West Coast version of All the President’s Men." —The New York Times Book Review

The full inside story of the breathtaking rise and shocking collapse of Theranos, the multibillion-dollar biotech startup, by the prize-winning journalist who first broke the story and pursued it to the end, despite pressure from its charismatic CEO and threats by her lawyers.

In 2014, Theranos founder and CEO Elizabeth Holmes was widely seen as the female Steve Jobs: a brilliant Stanford dropout whose startup "unicorn" promised to revolutionize the medical industry with a machine that would make blood testing significantly faster and easier. Backed by investors such as Larry Ellison and Tim Draper, Theranos sold shares in a fundraising round that valued the company at more than $9 billion, putting Holmes's worth at an estimated $4.7 billion. There was just one problem: The technology didn't work.

A riveting story of the biggest corporate fraud since Enron, a tale of ambition and hubris set amid the bold promises of Silicon Valley

拙い僕の和訳技術を駆使すると、ざっとこんな感じでしょうか。

全米のベストセラー
"ゾッとさせられる作品…まるで「大統領の陰謀」の西海岸版のよう" —ニューヨークタイムズ書評

Theranos(時価総額数10億ドルにものぼるバイオ系スタートアップ)の息を飲むような勃興と衝撃的な崩壊の内実を、TheranosのカリスマCEOおよびその弁護士からの抵抗を受けながらも、ピュリッツァー賞受賞ジャーナリストが徹底的に迫った作品。

2014年、Theranosの創業者兼CEOであるElizabeth Holmes(Stanford大学を中退し、Theranosは血液検査を従来より大幅に早く、簡単に実現できる機械をひっさげ医療業界に革命を起こすことにより"unicorn"として地位を確約されていた)は、女性版Steve Jobsとして広く認められていた。Larry EllisonやTim Draperなど投資家に支えられ、Theranosは資金調達によって90億ドル以上の株式時価総額の価値を記録し、Holmesには47億ドル相当の資産が計上された。ただ1つ、問題があった。それは、Theranosが誇っていた技術そのものは機能していなかったのだ。

Enron以来最大の企業詐欺にまつわる心を引きつけてやまない実話であり、野心と傲慢にまみれたSilicon Valleyの物語。

Tharanosに関する情報は、日本ではアメリカほど大きく取り上げられていません。
Elizabeth Holmesは、Wiredなど名だたるTech系メディアでスターと崇められるほどの人気を誇っていたことはおそらく一部の事情通にしか知られていないでしょう。
かくいう僕はというと、Theranosについては存在は多少知っていただけですが、ずっと動向を追いかけていたわけではありませんでした。
せいぜい、時々チェックしているシリコンバレー在住の渡辺千賀さんのblog(ON AND OFF BEYOND)を通じて状況を把握する程度です。
ちなみに、wiki日本語版にもTheranosについての記述があるので、興味があればどのような会社か確認してみてください。
ちなみに、NYTimesの紹介文にもあるように、投資家の顔ぶれが豪華なのに驚きです。Oracleの創業者Larry Ellison、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官など。
アメリカのスタートアップ企業リストサイト"Crunchbase"では、Theranosへの出資者リストなどより詳細かつわかりやすい情報がまとめられています。とことんTheranosを知りたい人はぜひこちらにも目を通してみると良いかもしれません。

作品名の"Bad Blood"とは実にうまいです。血液検査を提供していた会社だからというのもあるけれども、その裏に込められた皮肉などもあるのでは?と勘ぐってしまいたくなるネーミングセンスなのではないでしょうか?
日本でのTheranosの知名度を考えると、翻訳されるかは微妙なところかもしれません。
ただ、個人的には昨今の日本のスタートアップを巡る環境を考えると、未来への警鐘として関係者には知っておきたい事実でもあります。
翻訳求む!




[9/5追記]とうとう閉鎖の模様です。


No.2

PRINCIPLES

by Ray Dalio
Simon & Schuster

かつてTime誌により、世界に影響力を持った人物100人にも選ばれたこともある、投資家であり起業家でもあるRay Dalioが見つけた人生とビジネスの規律について記した自己啓発書です。

翻訳版(『PRINCIPLES(プリンシプルズ) 人生と仕事の原則』)が発売されています。


No.3

OUTLINERS

by Malcolm GladwellBack Bay
Back Bay/Little, Brown

翻訳版(天才! 成功する人々の法則)は入手できます。

勝間和代さん(本書を和訳)が強くオススメしていたこともあって、ご存知もしくは既に読んだ人も多いのではないでしょうか?
原作は2009年に出版されていることから、ロングセラーと言えます(10年弱!)。


No.4

RED NOTICE

by Bill Browder
Simon & Schuster

プーチン(現ロシア大統領)政権の不正に対して告発などを続けた結果、当局の怒りを買ったアメリカ人ビジネスマンの攻防をスリリングに記した実話。

翻訳(『国際指名手配 私はプーチンに追われている』)されています。 テーマが複雑そうなので、翻訳版の方が良さそうです。


No.5

SHOE DOG

by Phil Knight
Scribner

こちらも既に翻訳版(『SHOE DOG(シュードッグ)』)が国内で出版され、ベストセラーとして多くの人に読まれた作品です。

スポーツメーカーNIKE創業者の自伝です。

ちなみに、創業者のPhil Knightにはオニツカタイガー(現:アシックス)とのエピソードがあります。日本人としても興味深く読める作品とオススメします。


No.6

YOU ARE A BADASS AT MAKING MONEY

by Jen Sincero
Viking

あなた自身と夢を通じた収益化にまたがる障害を取り除く、元気が出るアドバイスを軽妙に送る作品。

前作"You Are a Badass: How to Stop Doubting Your Greatness and Start Living an Awesome Life: Embrace self care with one of the world's most fun self help books"の翻訳版(『YOU ARE A BADASS もっと「自分のため」に生きていい!: すると、才能、自信、お金……必要なものが必要なときにやってくる』)が出ているので、本作を手に取る前にまずは翻訳版を読んでみてはいかがでしょうか?


No.7

EXTREME OWNERSHIP

by Jocko Willink and Leif Babin
St. Martin's

海軍特殊部隊に所属し、イラク戦争にて特殊任務を率いた著者が戦場、ビジネス、人生で使えるリーダーシップの原則を説いた作品です。


No.8

THINKING, FAST AND SLOW

by Daniel Kahneman
Farrar, Straus & Giroux

行動経済学者、ダニエル・カーネマンの作品。

翻訳版(ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? )も手に入ります。

行動経済学はビジネス週刊誌で特集として時々取り上げられることがあり、特集内では高い確率で紹介される学者です。

原作は2011年出版のためロングセラーと言えます。

僕の好きな作家Michael Lewisがダニエル・カーネマンの足跡を辿った作品(マネー・ボール)の書評から触発されて書いた作品としても知られている)。


No.9

RADICAL CANDOR

by Kim Scott
St. Martin's

"Radical Candor(徹底した誠実さ)"を通じ、悩めるマネージャーがマネジメントをどのように進めていくかの指針を示した作品。

マネジメントは、洋の東西を問わず誰もが頭を悩ませる課題ですね。


No.10

MEASURE WHAT MATTERS

by John Doerr
Portfolio/Penguin

伝説のベンチャーキャピタリスト、Jonh DoerrがOKR(オーケーアール) をどのように設定し、Intel、Googleなど名だたる出資先をとてつもない成長をさせたか、そして組織をどのように発展させるかを示した作品。

ちなみに、OKRとはビジネスシーンで最近耳にする言葉で、Objectives and Key Resultsの頭文字を抜き出したものです。日本語に訳すと、「目標とその成果指標の集まり」とされています。

OKRと似たものとしてMBOというものがあります。

MBOとOKRとの違い、そしてOKRの運用については「【保存版】Googleも採用する目標管理「OKR」を徹底解説!導入事例や運用ツールも紹介」がわかりやすいのでぜひこちらに目を通してみてください。


初めて投稿してみましたが、思った以上に時間がかかりました。
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