2018/09/23

NYT:201809のベストセラー

NYTimesの月間ベストセラー(ビジネス書)9月のランキングを発表!
9/11時点で翻訳されて国内の書店で手に入るのは、以下の5つ。
No.4 GRIT
No.5 Outliers
No.6 Shoe Dog: A Memoir by the Creator of NIKE
No.8 Red Notice: How I Became Putin's No. 1 Enemy
No.9 Thinking, Fast and Slow

今回は初ランクインのNo.2の"DOPESICK"について掘り下げてみました。


No.1(→)

BAD BLOOD

by John Carreyrou
Knopf

8月に続き1位。
内容などについては2018年8月の投稿を参照してください。


No.2(↑)

DOPESICK

by Beth Macy
Simon & SchusterLittle, Brown

amazonの書籍紹介は次の通り。
An instant New York Times and indie bestseller, Dopesick is the only book to fully chart the devastating opioid crisis in America: "a harrowing, deeply compassionate dispatch from the heart of a national emergency" (New York Times) from a bestselling author and journalist who has lived through it

In this masterful work, Beth Macy takes us into the epicenter of America's twenty-plus year struggle with opioid addiction. From distressed small communities in Central Appalachia to wealthy suburbs; from disparate cities to once-idyllic farm towns; it's a heartbreaking trajectory that illustrates how this national crisis has persisted for so long and become so firmly entrenched.

Beginning with a single dealer who lands in a small Virginia town and sets about turning high school football stars into heroin overdose statistics, Macy endeavors to answer a grieving mother's question-why her only son died-and comes away with a harrowing story of greed and need. From the introduction of OxyContin in 1996, Macy parses how America embraced a medical culture where overtreatment with painkillers became the norm. In some of the same distressed communities featured in her bestselling book Factory Man, the unemployed use painkillers both to numb the pain of joblessness and pay their bills, while privileged teens trade pills in cul-de-sacs, and even high school standouts fall prey to prostitution, jail, and death.

Through unsparing, yet deeply human portraits of the families and first responders struggling to ameliorate this epidemic, each facet of the crisis comes into focus. In these politically fragmented times, Beth Macy shows, astonishingly, that the only thing that unites Americans across geographic and class lines is opioid drug abuse. But in a country unable to provide basic healthcare for all, Macy still finds reason to hope-and signs of the spirit and tenacity necessary in those facing addiction to build a better future for themselves and their families.

"An impressive feat of journalism, monumental in scope and urgent in its implications."--Jennifer Latson, The Boston Globe

今月も懲りずに書籍紹介を和訳してみました。
普段、英語に触れる機会が全くない生活を送っていて英語を日本語に変換する習慣がないため、「訳する」のが結構手強かったです。
英語では頭に入ってくるものの、それを日本語に起こすことの難しさと言ったら…。
翻訳家は外国語だけでなく、母国語のチカラもないと務まらない仕事だなぁと稚拙な感想がわきました。

今月のNew York Timesと独立系編集社部門でのベストセラー。"Dopesick(本書)"は、 合成麻酔薬が起こすアメリカ国内での危機の実情を余すことなく記した唯一の書籍である。New York Timesが"国家の危機にある状態での我々に苦悩と深い憐れみを与える作品"と評価した、当該分野にささげたベストセラー作家でありジャーナリストによる作品である。

この力作において、Beth Macyはアメリカがこの20年以上もの間苦しんできた合成麻薬中毒の震源地に読者を誘う。中央アパラチア地方の貧しい小さなコミュニティから裕福な郊外、全く異質なものが混在した都市から、かつて牧歌的だった農村まで、これはまさに心を痛める足跡と言えよう。 この国家の危機が長期にわたって蔓延り、そして剥がせなくなるほどみっちりと侵食してしまっていることを描いている。

バージニアの小さな町にやってきて、高校のアメフトのスター選手をヘロインの大量摂取により死に至らしめた密売人の話からストーリーは始まる。悲しみにくれるスター選手の母がMacyにぶつける問い、すなわちなぜ彼女の息子は死に彼女の元から欲に掻き乱されて去ってしまったのかに真正面から答えようする。1996年のオキシコンチンの販売開始を起点に、Macyは鎮痛剤の過剰処方が当たり前になったような医療業界の文化をアメリカが受け入れるようになった過程を解く。いくつかの抑圧された同じようなコミュニティにおいて、彼女のベストラー作品である"Factory Man: How One Furniture Maker Battled Offshoring, Stayed Local - and Helped Save an American Town"にあるように、失業者が失業という心の痛みと請求を支払うという事実を麻痺させるために鎮痛剤を使用するように、ティーンが袋小路でピルを取引し、高校の優等生が売春、刑務所そして死の犠牲となるのである。

疫病を直そうと格闘する家族たちや救急隊員の人物像など、無慈悲な危機の様相は明らかになっていく。政治的に断絶された時代において、Beth Macyは、驚いたことにアメリカ大陸を地理・身分をまたがって結びつけるのは合成麻酔薬の乱用であることを示している。しかしながら、国は国民全員に基礎的健康保険を提供することはできない。Macyは自身が希望の人物として扱われる理由そして中毒に苦しむ人そして彼らの家族がより良い未来を築く必要性を探し求めている。

"印象的な記事であり、視座と差し迫ったにおいてその意味合いはとてつもない"--Jennifer Latson, The Boston Globe

医療事情にはめっきり弱いため、amazonの書籍紹介を訳してみたものの、訳語の選定がふさわしいのかは非常に怪しいです。
著者のBeth Macyによる解説がYouTubeに上がっているので下記の通り紹介します。
訳が怪しいため、こちらの動画(英語ですが)を見ていただけるとイメージが幾分湧くかもしれません。



例えば、"opioid"を合成麻薬と訳しましたが麻薬性鎮痛薬が良いような気がしますし、はっきり言って訳の精度は高くないです。
そのため、どうしても先月と異なり自分の知識をベースとした見解を述べることは差し控えさせてもらいたいです。
さて、amazonの紹介文の中で触れられているオキシコンチンについては、研究倫理(ネカト)の記載(製薬企業:鎮痛薬・オキシコンチン(OxyContin)、オキシコドン(oxycodone):パーデュー・ファーマ社(Purdue Pharma)(米国))がわかりやすいです。
詳しすぎて、医療のど素人からすると、ボリュームたっぷりすぎて、満腹になる充実ぶりです。
ちなみに、トヨタの女性役員が麻薬および向精神薬取締法違反のために逮捕された事件を覚えている人もいるでしょうが、その事件も関わりのある話でもあります。

参考までに、全米での2017年の薬物摂取による死亡要因を示した図を紹介します。
Statistic: Number of drug overdose deaths in the United States in 2017, by drug type | Statista
Find more statistics at Statista

ヘロインやコカインよりもOpioid(合成麻酔薬)による死因が多いことが見て取れます。

さて、本作で取り扱われている出来事、アメリカの出来事だと思っていないでしょうか?
いえいえ、そんな甘い話ではありません。
日本でも同じことが今まさに起こる可能性は否めないのです。
モーリー・ロバートソンの週刊プレイボーイでの記事にて、忍び寄る魔の手にて紹介されています。


No.3(↓)

PRINCIPLES

by Ray Dalio
Simon & Schuster

8月に続きランクイン。 内容などについては先月の投稿を参照してください。


No.4(↑)

GRIT

by Angela Duckworth
Scribner

日本でも既に発売されていて、ベストセラーとして書店に並んだことからも既に読んだ人も多いのでは?
やり抜く力、残念ながら飽きっぽい僕には残念ながら備わっていません。
このblogを続けることを通じて、やり抜く力を鍛えたいものです。


No.5

OUTLINERS

by Malcolm GladwellBack Bay
Back Bay/Little, Brown

翻訳版はすでに書店で出ています。

勝間和代さんが強くオススメしていたこともあって、ご存知もしくは既に読んだ人も多いのではないでしょうか?
原作は2009年に出版されており、ロングセラーと言えます。


No.6(↓)

SHOE DOG

by Phil Knight
Scribner

こちらも既に翻訳版が国内で出版され、ベストセラーとして多くの人に読まれた作品です。
スポーツメーカーNIKE創業者の自伝です。
ちなみに、創業者のPhil Knightはオニツカタイガー(現:アシックス)とはエピソードがあります。日本人としても興味深く読める作品とオススメします。


No.7(→)

EXTREME OWNERSHIP

by Jocko Willink and Leif Babin
St. Martin's

さらにこちらも8月に続きランクイン。


No.8(↓)

RED NOTICE

by Bill Browder
Simon & Schuster

プーチン(現ロシア大統領)政権の不正に対して告発などを続けた結果、当局の怒りを買ったアメリカ人ビジネスマンの攻防をスリリングに記した実話。

翻訳されています。 テーマが複雑そうなので、翻訳版の方が良さそうです。


No.9(↓)

THINKING, FAST AND SLOW

by Daniel Kahneman
Farrar, Straus & Giroux

またさらに8月に続きランクイン。
トップ10の顔ぶれは大きく変わらないのですね。


No.10

WINNERS TAKE ALL

by Anand Giridharadas
Knopf

勝ち組の「世界を変える」と言う気持ちに切り込んだ作品です。
来月もランクインしているようであれば紹介する予定です。
お楽しみに。



なんとか2回目の投稿が完了しました。
企画を思いついた時は結構楽チンなのではと甘くみていましたが、ところがどっこいなかなかヘビーです。
来月はどのような本がランクインするでしょうか?

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