2019/12/08

NYT:201912のベストセラー

NYTimesの月間ベストセラー(ビジネス書)2019年12月のランキングを発表!

今回はNo.1の"THE MAN WHO SOLVED THE MARKET"を紹介します。


No.1(New)

THE MAN WHO SOLVED THE MARKET

by Gregory Zuckerman
Portfolio/Penguin

初ランクイン。

今月の紹介作品です。

amazonの内容紹介は以下のとおりです。

NEW YORK TIMES BESTSELLER

Gregory Zuckerman, the bestselling author of The Greatest Trade Ever and The Frackers, answers the question investors have been asking for decades: How did Jim Simons do it?
Shortlisted for the Financial Times/McKinsey Business Book of the Year Award

Jim Simons is the greatest money maker in modern financial history. No other investor--Warren Buffett, Peter Lynch, Ray Dalio, Steve Cohen, or George Soros--can touch his record.

Since 1988, Renaissance's signature Medallion fund has generated average annual returns of 66 percent. The firm has earned profits of more than $100 billion; Simons is worth twenty-three billion dollars.

Drawing on unprecedented access to Simons and dozens of current and former employees, Zuckerman, a veteran Wall Street Journal investigative reporter, tells the gripping story of how a world-class mathematician and former code breaker mastered the market. Simons pioneered a data-driven, algorithmic approach that's sweeping the world.

As Renaissance became a market force, its executives began influencing the world beyond finance. Simons became a major figure in scientific research, education, and liberal politics.

Senior executive Robert Mercer is more responsible than anyone else for the Trump presidency, placing Steve Bannon in the campaign and funding Trump's victorious 2016 effort. Mercer also impacted the campaign behind Brexit.

The Man Who Solved the Market is a portrait of a modern-day Midas who remade markets in his own image, but failed to anticipate how his success would impact his firm and his country. It's also a story of what Simons's revolution means for the rest of us.

では、上記をいつものように和訳してみます。

NEW YORK TIMES のベストセラー

Gregory Zuckermanは、"The Greatest Trade Ever"と"The Frackers"のベストセラー作家であり、投資達が数十年に亘って「それはJim Simonsはどうやったんだね?」と質問されてきたものに対し回答している。

Financial Times/McKinsey Businessが選ぶ「今年の本大賞」の最終候補作品

Jim Simonsは近代の金融史の中で偉大な金儲けの名人である。Warren Buffett、Peter Lynch、Ray Dalio、Steve Cohen、George Sorosなど他の投資家はJim Simonsの記録に達することはできていない。

1988年から、Renaissance'sのMedallion fundは平均年間利益率66%を記録して続けている。1,000億ドル以上を会社は稼ぎ出し、Simonは230億ドル相当稼いでいる。

Simonsと多くの現職・元従業員への前例のない接触により描くことで、Wall Street Journalのベテラン調査レポーターであるZuckermanは、世界的な数学者であり市場を支配したかつての暗号破りの心掴むストーリーを繰り広げる。Simonsはデータに依拠したアルゴリズムに基づいた世界を独占する手法で開拓した。

Renaissanceが市場で影響力を付けるに伴い、同社の役員たちは金融界の外にまでその影響力を及ぼすまでになった。Simonsは科学調査、教育、リベラルな政治において重要な人物となった。

役員であるRobert MercerはTrumpの大統領選挙にて誰よりも大きな責任を負い、Steve Bannonを2016年の大統領選挙でTrumpを勝利に導く選挙戦と資金調達の任に就かせた。

MercerはBrexitキャンペーンでもその影響力を奮った。

"The Man Who Solved the Market"は自身のイメージを市場で再構築した現代の大金持ちを描いた作品であるが、彼(Simon)の成功が彼の会社および国家にどのような影響を及ぼすかの予測には失敗している。そしてこれは、Simonsの革命とは何なのかを残された我々に示すストーリーでもある。
Jim Simonsについて書かれた本作。

投資については関心の強い私ではありますが、恥ずかしながらJim Simonsについては知りませんでした。

amazonの紹介文に挙がっているWarren Buffett、Peter Lynch、Ray Dalio、Steve Cohen、George Sorosについては多少なりとも知っているのですが、彼らよりも稼いだと言われるJim Simonsへの知識が乏しかったとは。

wikipediaによると、次のように紹介されています。

ユダヤ系。マサチューセッツ工科大学で数学の学士を取得後、カリフォルニア大学バークレイ校でPhDを取得。わずか23歳であった。ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の両校で数学教授を歴任。「チャーン・シモンズ理論」として知られる理論を構築し、幾何学で最高の栄誉とされるアメリカ数学界のオズワルド・ヴェブレン賞も受賞、数学の世界で多くの実績を残した。1988年、メダリオン・ファンドを創業し、ヘッジファンドであるルネサンス・テクノロジーズを率いた。2008年には年率80%のリターンを出した。2016年前半のリターンは13.8%だった。アメリカの数学の発展や自閉症研究などに10億ドルを寄付した。
amazonの紹介文にもあるように、数学で天才的な才能を持ち、その才能を金融業界で発揮したことがわかります。

また、彼についてのさらに踏み込んだ紹介が、Yucaseeで紹介されているのでさらに興味があるようであれば読んでみてはいかがでしょうか。

Jim Simonsがインタビューを受けているTEDでの動画、そして著者であるGregory Zuckermanがインタビューを受けている動画をそれぞれ紹介します。




Jim Simonsが立ち上げたRenaissance Technologies社とはどのような会社なのかHPを開いてみたら、なんともあっさりしたものでなんともヘッジファンドっぽいなという印象を持ちました。

ちなみに、オフィスはニューヨークのロングビーチとマンハッタンに構えています。転職に興味のある人は応募してみてはいかがでしょうか?

個人的には翻訳を強く期待する作品です。


No.2(↑)

ATOMIC HABITS

by James Clear
Avery

内容などについては2019年1月の投稿を参照してください。


No.3(↑)

DARE TO LEAD

by Brené Brown
Random House

内容などについては2018年11月の投稿を参照してください。


No.4(→)

THE INFINITE GAME

by Simon Sinek
Portfolio/Penguin

先月同様ランクイン。

未紹介です。


No.5(↓)

THE RIDE OF A LIFETIME

by Robert Iger
Random House

3ヶ月連続ランクイン。

未紹介です。


No.6(↑)

EXTREME OWNERSHIP

by Jocko Willink and Leif Babin
St. Martin's

久々のランクイン。
内容などについては2019年02月の投稿を参照してください。


No.7(↑)

OUTLIERS

by Malcolm GladwellBack Bay
Back Bay/Little, Brown

ランキング上位の常連。
勝間和代さんが強くオススメしていたこともあって、ご存知もしくは既に読んだ人も多いのではないでしょうか?

原作は2009年に出版されており、ロングセラーと言えます。


No.8(↑)

PRINCIPLES

by Ray Dalio
Simon & Schuster

内容などについては2018年8月の投稿を参照してください。
和訳版も発売されています。


No.9(↑)

THINKING, FAST AND SLOW

by Daniel Kahneman
Farrar, Straus & Giroux

和訳版は『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』。

ランキングの常連です。


No.10(↓)

TRAILBLAZER

by Marc Benioff and Monica Langley
Currency

内容などについては2019年11月の投稿を参照してください。

Marc Benioffといえば、Salesforce.comの創業者として知られています。


今回は金融界の生きる伝説的ヘッジファンドマネージャーと称される偉大なJim Simonsを紹介しました。

コンピュータが一般に普及するはるか昔から数学の知見を運用に活用し莫大な収益を生み出した実績とその着眼点は大変興味深いものです。

今ではコンピュータを用いた取引は極々当たり前であり、既にその先を金融業界は達していて例えばGoldmanSachsでは株式投資を担当するスタッフはわずか3名しかおらず、投資はもっぱら人工知能(AI)が行っていると言われるまでになっています。

人工知能による投資の一般化のさらにその先には、いったい何があるのでしょうか?

個人的には大変興味深く、人工知能の先にあるものを追いかけ続けていきたいと考えています。

人気投稿