2019/12/29

書評:『GREAT BOSS(グレートボス): シリコンバレー式ずけずけ言う力』から、チームの生産性を上げるフレームワークを紹介

2019年08月のランキングで10位に入った。"RADICAL CANDOR"。

邦訳版のタイトルが『Great Boss:シリコンバレー式ずけずけ言う力』と、なんとも興味を惹くもので手にとった縁も有り、中身を紹介します。

ちなみに、原題の"RADICAL CANDOR"とは、邦訳版の中では「徹底的なホンネ」と訳されています。

すごく的確な訳だと思うしこの訳のお陰で理解が進みました。

なお、本の紹介については2019年08月のランキングでの記事をご確認ください。

"RADICAL CANDOR"とはどのようなものかを紹介する前に、本書の中にあるように、日本人からホンネを引き出すのは非常に難しいようです。

著者のKim Scottがグーグルの東京事務所で、チームとのコミュニケーションで経験したように、日本はコミュニケーションの面で実に奥ゆかしく、アメリカ本社のプロダクトに不満があってもはっきり伝えることができなかったという事例が挙がっています。

日本人の立場からすると、グーグルで勤務するような人は日本人の中では主張が強いという個人的印象があるので、平均的な日本人の組織に欧米人が身を置いたときのストレスは相当なものなのかもしれませんね。

また、よく言われるのが国際会議で難しいことは、インド人を黙らせることと日本人に口を開かせることという類のエピソードは耳にします。

ミステリアスな日本人も良いですが、口を開かせるのに周りが気を遣うのは非生産的なので国際的な場では日本でいる以上に自己主張したほうが良さそうです(それでも国際基準では物足りない?)。

さて、本書が言うところの「徹底的なホンネ」とはどのようなものなのでしょうか?
本書のp103に書かれている事例はイメージ湧きやすいと思います。

参考に画像を作ったので紹介します。


上図「徹底的なホンネ」を「人材管理」ならぬ「成長管理」というフレームワークを用い、それぞれの成長ステージにある人材に対し、 「徹底的なホンネ」をどのようにぶつけていくかを説いています。


ここまでの紹介はあくまでも個別の議論を進めるための入り口に過ぎず、具体的にどのように「徹底的なホンネ」をぶつけるかについては全体の2/3程度を割いて説明しています。
著者が実際の現場で体験したこと(管理する側・管理される側双方)に基づいたエピソードに基づいているため、経営学者が説くリーダーシップ論とは違って現場感が伝わってくるとともに、自分が置かれているケースに当てはめることができる点が、本書の特徴だと評価できます。

ビジネス書としてはp400程度のボリュームと厚めなので、通勤のお供とするには少々嵩張りますが、手元に置きながらマネジメントにぶつかったときの手引書のように傍に置いておいて良い1冊なのではないでしょうか。

著者であるKim Scottの講演動画を最後に紹介します。


2019/12/14

NYT:2019年間ベストセラー

NYTimesの月間ベストセラー(ビジネス書)2019年年間ランキングを発表します!

独自の集計方法を用いてのランキングです。

毎月1位に10点、2位に9点、…10位に1点を付け、年間での合計点数が多い順に並べたものとします。

2019年のランキング10位以内に一度でも入ったのは、35冊です。

入れ替わりは比較的少ない印象ですが、どうでしょうか?

日本だと、ランキングの上下・入れ替わりはもう少し激しい印象です。

2019年、毎月必ず10位以内にランクインした作品が、2つあります。

なんと、それは、"DARE TO LEAD"、"ATOMIC HABITS"です。

"DARE TO LEAD"は2019年12月時点で残念ながらまだ和訳版が出版されていませんが、"ATOMIC HABITS"については、『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』という邦題で出版されています。

2019年にアメリカで売れた本を読んでみてはいかがでしょうか?

なお、以下のランキングで順位の横に設けた( )内には各書籍の年間獲得点数(冒頭に配点ルールは記載)を添えておきます。

ご参考に。


No.1(107点)

DARE TO LEAD

by Brené Brown
Random House

内容などについては2018年11月の投稿を参照してください。


No.2(90点)

ATOMIC HABITS

by James Clear
Avery

内容などについては2019年1月の投稿を参照してください。

『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』が邦訳版として手に入ります。


No.3(83点)

BAD BLOOD

by John Carreyrou
Knopf

内容などについては2018年8月の投稿を参照してください。


No.4(42点)

EXTREME OWNERSHIP

by Jocko Willink and Leif Babin
St. Martin's

内容などについては2019年02月の投稿を参照してください。


No.5(30点)

RANGE

by David Epstein
Riverhead

内容などについては2019年7月の投稿を参照してください。


No.6(29点)

OUTLIERS

by Malcolm GladwellBack Bay
Back Bay/Little, Brown

原作は2009年に出版されており、ロングセラーと言えます。

邦題『天才! 成功する人々の法則』として日本で販売されています。


No.7(25点)

PRINCIPLES

by Ray Dalio
Simon & Schuster

内容などについては2018年8月の投稿を参照してください。

邦題『PRINCIPLES(プリンシプルズ) 人生と仕事の原則』として販売されています。


No.8(24点)

I WILL TEACH YOU TO BE RICH, SECOND EDITION

by Ramit Sethi
Workman

内容などについては2019年10月の投稿を参照してください。


No.9(24点)

THE RIDE OF A LIFETIME

by Robert Iger
Random House

10-12月3ヶ月連続ランクインと追い上げを見せたものの残念ながら未紹介作品です。

Walt Disney CompanyのCEOを15年務めたRobert Igerによるリーダーシップを説いた作品です。

アメリカの著名女性司会者Opra Winfreyとの対談動画を紹介します。





No.10(22点)

GRIT

by Angela Duckworth
Scribner

2018年9月で少し紹介しています。

『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』というタイトルで邦訳版が既に手に入ります。



10位までに入った作品の中で、既に邦訳版が出ているものは、4つ。

原書はなかなか厳しいけれども、アメリカの売れ線に触れてみたいという方は、年末年始(今年はカレンダーだと9連休!)の合間に手にとってみてはいかがでしょうか?


最後に、年間の集計結果(Spreadsheetのリンク)を紹介します。

ご興味あればぜひご覧ください。

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